「レバーパテ」からフランスのブルターニュ地方を想う

「レバーパテ」からフランスのブルターニュ地方を想う

パテ(pâté)とは「細かく刻んだ具材を練りあげて加熱したもの」で、そのレシピは実に多岐にわたっている。パテはフランスのブルターニュ地方発祥ともいわれ、ブルターニュ地方は古くから豚の飼育が盛んな地域とされている。地元産の豚肉を使ったシャルキュトリ(豚肉加工品)の代表格として有名なのは、1907年創立のエナフ社で、ソーセージなどに使えない豚肉の破片を有効活用したのがレバーパテの発祥のルーツだと言われている。

また、フランスのブルターニュ地方は、フランスの農業生産の15%を占める最も農業が盛んな地域で、有名な特産物を使った料理には「そば粉のガレット」や林檎を発酵させた「シードル」などがある。このようにフランスの小麦主食・ワイン文化から離れ、ソバ粉料理と林檎加工品を主とする独自の食文化が発展してきた。

この緑豊かな田園風景が広がるブルターニュ地方の農家に、必ず植えられている「シードル」の品種の林檎の木は、とても美しく大地の恵みの象徴だと言われている。「シードル」は微発泡酒で、農家が好んで自家用に作っていたものを商品化したものである。林檎の蒸留酒は「オー・ド・ヴィー(生命の水)」と呼ばれ、蒸留後に十数年もの間、ゆっくりと樽で熟成されていくのだが、その熟成場所を知ることが出来たのは、大家族の中でも家主だけだったとか。産地の中では「カルヴァドス」が有名であるが、なかでもブルターニュ産のものを「フィーヌ・ド・ブルターニュ」と呼び、他の追随を許さない銘品と謳われている。銘品と謳われる所以とは、めぐりゆく時代の中で農民たちが、その「生命の水」と呼ばれる熟成樽を大切に守ってきた「歴史の重み」を感じるからだと考えられる。

 

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